英語力判断テスト(IELTS/TOEFL)。

海外正規留学を目指す時、必ず必要になるのが英語力を証明するためのテストスコアです。その中でも IELTS と TOEFL は両方とも世界的に知名度のある英語力を証明するためのテストですが、どちらを勉強するかということは受験者によっては非常に重要となります。

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必要なスコアを知る

IELTS 及び TOEFL は共に第二言語として英語力を使用する方の英語力判定テストになり、留学生専用のテストとなります。通常ネイティブや英語を第一言語としている国からの出願者はこれらのテストスコア提出の義務はありません。そのため出願基準の中でもこのテストスコアに関する情報だけは通常留学生オフィスで管理していることが多いのが特徴です。

なお、テストスコアは IELTS または TOEFL のどちらかのスコアを提出すれば問題なく、両方のテストを提出する必要はありません。通常どちらのテストも海外大学院では認定していますが、学校によってはTOEFLのみでIELTSは認めないという学校(特に北米)もありますので注意が必要です。

このテストの提出目的は入学後授業に問題なくついていけるのか、ということを判断することになります。入学後はもちろん全て英語で授業が行われますので、問題なく授業を履修でき、クラスの中で論文の作成やディスカッションへの参加等学生生活に支障がない英語力が備わっているか、という点を判断されます。そのため通常IELTSまたはTOEFLのスコアは必ず提出する必要があり、スコアも最低スコア、いわゆる「足切りスコア」が設定されています。条件付き合格制度のような例外を除き、このスコアを超えていないと出願を認めてもらえず、審査自体も始まりません。その為、まずは希望校の出願最低必要スコアと提出期限(出願締切)を知る事が最も重要です。

一般的に大学院留学を目指す場合の必要スコアは下記目安になります。

TOEFL iBTテスト80~110
IELTSテスト6.5~8.0

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適切なテストを選択する

上記の様にテストスコアは IELTS または TOEFL のどちらかのスコアを提出すれば問題ないため、どちらを勉強するかというとは受験者によっては非常に重要となります。選択する際の大きな要素は①希望校の要求スコア(どちらが有利なスコアであるか)②適正(出願者にとってどちらのテストの方がスコアを取得しやすいか)の2点です。

まず①について出願希望校の要求スコアを比較し、有意差がない場合は②を検討します。検討する際には IELTS と TOEFL の試験内容の比較が必要になりますが、ここではIELTS と TOEFL の大きな相違点について解説いたします。

相違点として、もちろん試験方式(コンピューター方式または記述方式)や所要時間等異なる箇所は多々ありますが、設問に限って言えば「IELTS にあって TOEFL にないもの⇒IELTS:Writing Task1」及び「TOEFL にあって IELTS にないもの⇒TOEFL :Integrated Task(複合問題)」となりますので、この2つについて下記解説いたします。

●IELTSの特徴:Writing Task1 図や表、グラフの解説

与えられた図や表、グラフについて特徴を150 語程度で解説するタスクです。図やグラフ、表を客観的に説明、レポートとしてまとめるためには、まず話し言葉や通常レターに書くような書き言葉では使用しないような表現を覚える必要があります。
例えば、
Diagram/Chart:図
Table/List:表
Line graph:折れ線グラフ
Bar graph:棒グラフ
Pie graph/Pie chart:円グラフ
Increase slightly:徐々に下がる
Decline slowly:徐々に下がる
Fall dramatically:劇的に落ちる
等、チャートやグラフを説明する際に必要な表現を覚え、使いこなせるようになることが必要不可欠です。昨今では様々なSNSの登場で英語で自ら情報や意見を自由に発することができる時代になりました。そのため皆さんは英語で主観的な意見を発することには慣れているのですが、今回の設問のように英語で客観的な情報をまとめることには慣れていない方が多々います。日々の仕事等でこういった業務を行っていないと通常の口語とは使用する単語や表現が大きく異なるため、独自の訓練が必要になります

●TOEFLの特徴:Integrated Task(複合問題)

TOEFLが iBTテストに変わり、最大の難所として知られるのが IntegratedTask(複合問題)です。Integrated とは、「総合・複合的な」という意味で、Integrated Taskとは「複合問題」という意味です。TOEFL iBTでは、ライティングとスピーキングセクションに追加された問題形式になります。

問題は文章(250-300語を3分)を読み、その内容に関連したLecture(230-300語を約2分)を聴き、内容をまとめる(20分で150-225語)という流れで、Speaking Section の Integrated Task のパターンも非常に似ています。これは、より大学生活に密着したセクションと言えます。教科書を読み、授業に参加、そしてそれらの内容についてのエッセイを書く、まさにアメリカの大学生の1日を短時間であらわしています。Integrated Taskは受験時代に培った読解力だけでなくレベルの高い速読力が必要になります、そして最後に短時間で200語以上で客観的な情報をまとめる必要があるため、主観で意見を述べるための表現力ではなく、客観的な情報を読み手に伝えるための特別な訓練が必要になります。そのため速読力、アカデミックな分野で披露される講義を1回で聴き取るリスニング力、そして読んで聞いた内容を読み手に効率よく伝えるためのライティング力が同時に問われる非常に難易度の高いテストです。こういった複合問題は現在 IELTS にはありませんので、IELTS の方が TOEFL より難易度が低いという見解もできます。


以上が設問における IELTS 及び TOEFLiBT の主な相違点になります。もしどちらのテストを選ぶか悩んだ場合は、まず上記2つの設問を比べると何れが自身にとって得意であるか適性の判断がしやすくなると思います。

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テストスコアを証明する

取得したテストスコアを出願校へ提出する際は、スコアレポートをオンライン願書へアップロードし、併せてテスト主催団体より直接出願校へスコアをお送りいただく様依頼を行います。これはテストスコアの信頼性を計るもので、偽造スコア等で出願することを避けるために設けられた手続きになります。

この方法は主に北米校より求められている方法となり、出願校によっては出願時点ではスコアレポートをオンライン願書へアップロードするのみで認められる場合もあります。その為、スコアの提出方法については出願校のガイドラインを詳しく確認する必要があります。

またスコアの有効期限に関しても一般的には2年間有効となりますが、出願校によって『出願時点で2年以内』とするケースもあれば『入学時点で2年以内』とするケースもあり、また有効期限を18か月など独自に設定している大学もある為、この点にも注意をしながら受験計画を立てる必要があります。