書類で決まる大学院出願。
海外大学院の審査は書類選考となりますので、出願書類のクオリティーは合否を分ける重要な役割を果たします。ここではその中でも主要かつ重要な書類である履歴書、エッセイ、推薦状について主に解説いたします。
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出願書類作成の順番
英文履歴書、エッセイ、推薦状はほとんどの大学院で出願に必要になってくる書類ですが、作成の順番は効果的な書類を作成するうえで最も重要な項目の1つです。
① 専攻の決定:
効果的な履歴書を作成する為には、何を目的に作成するのか(どういった出願者であるとアピールしたいのか)を明確にする為、まずは専攻(専門分野)を決定する必要があります。
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② 履歴書作成:
海外大学院出願用の英文履歴書は、皆さんが現在まで経験されてきた学術的(学歴)及び実践的(職歴)実績の中から、出願する専攻(専門分野)に合わせて最も効果的な経験をピックアップして作成することになります。
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③ 出願校の決定:
海外大学院の出願書類として課されるエッセイは、プログラム別にエッセイ課題やガイドラインが決まっている為、エッセ作成を開始する前に必ず出願校を決定する必要があります。
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④ エッセイの作成:
出願するプログラムのエッセイガイドラインに沿い、そのプログラムの目的に沿うキャリアゴールやバックグラウンドを持った魅力的な出願者であると審査官に思われる様なエッセイを作成します。
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⑤ 推薦状の作成:
推薦状は皆さんがエッセイや履歴書で自己 PR をした内容を第三者の立場から証明してもらうものであり、推薦者の選定に関しても皆さんが履歴書やエッセイでどういった内容を記載したのか、という点に依存するため、最後に依頼及び作成する書類になります。
以上が通常必要になる出願書類の作成における順番となります。次に各出願書類についての具体的な作成方法について解説したいと思います。
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履歴書(CV/Resume)
海外の履歴書は日本のように専用のフォーマットはありません。通常特に指定がなければ、A4用紙に箇条書きで1枚程度書きますが、分量も自由です。また、書く内容も自由で、例えば部活動やボランティア経験等自由に書き込むことができます。
専攻が決まったら履歴書を作成する前に皆さんのアカデミック及びキャリアバックグラウンドを一通り書き出してみましょう(ブレインストーミング)。その後、出願する専攻を注意深くリサーチし、その専攻がどういった学生を求めているのか、という点について確認、理解することが重要です。
そして皆さんがそのコース担当者が欲している学生であると審査官に思わせるために、書き出した現在までのバックグラウンドの中でどの経験や実績が最も効果的にアピールできるのか、という点について注意深く検討する必要があります。
その後記載する内容や構成が決まったら、後はできるだけ具体的に学歴や職歴、実績等を記載し、審査官に分かり易くアピールすることがより効果的な履歴書作成のポイントとなります。
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エッセイ(Statement of Purpose)
エッセイでは通常出願の動機、出願までの背景、キャリアゴール、今回の留学がキャリアゴールにどのように結びつくのか等を論理的に述べます。
志望動機の他にも特殊課題として、より個人的な背景を問われる課題やDiversityへの理解を問われるもの、過去の経験や出願分野に関連するトピックなど現在は様々な課題が存在します。いずれの場合も海外大学院出願用のエッセイ作成において重要な事は「与えられた課題に答えること」、課題が特に与えられていない場合は「志望動機を明確伝えること」です。
しかしその先にある真の目的は確実に合格するためのエッセイを作成する事です。審査官が皆さんのエッセイを読んだ後、「この出願者を合格させたい」と思わせることができれば皆さんの合格するためのエッセイは成功したことになります。審査官が合格させたい出願者とはどういった出願者でしょうか?それは次の2つの要素を含んでいる出願者を指します。
まず1つ目の要素は「入学後クラスに貢献する学生」
そして2つ目の要素は「卒業後成功する学生」
つまり入学後クラスの活性化に貢献し、卒業後魅力的なキャリアゴールを達成する学生を合格させたいわけです。そう思われるエッセイを作成する為に、まずはそのプログラムがどの様な目的で開校されており、その為にどのような生徒を求めているかを理解する事が重要です。そしてエッセイの中で『入学後必ずクラスに貢献できるパーソナリティと独自性のある経験、そして卒業後必ず達成することができる魅力的なキャリアゴールを描いており、そのキャリアゴールを達成できるだけのポテンシャルを有する』事が証明でき、それらをエッセイ全体を通して論理的な展開を持って述べられれば、合格に大きく近付くことが可能です。
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推薦状(Letter of Recommendation)
推薦状のガイドラインや提出方法は各学校によって異なりますが、合格するための推薦状作成についてのポイントはいくつかあります。
まずこれは至極当たり前のことですが、推薦者選定の際に出願するコースが求めている推薦者に関する内容を詳しくリサーチすることです。例えば推薦状のガイドラインに「アカデミックフィールドから2名」、「アカデミックフィールドから1名、プロフェッショナルフィールドから1名」等、推薦者選定のための目安が記載されている場合があります。ここでいうアカデミックフィールドとは大学時代、または大学院時代の恩師、つまりゼミや卒業研究等で一番密に接していた教授等を指します。つまり「上司より教授からの推薦状を重要視する」ということです。一方、プロフェッショナルフィールドと言われたら通常所属している組織の直属の上司に当たる方を指します。こちらもできるだけ密に接していた直属の上司に頼むのがよいでしょう。つまり出願するコースがどういった推薦者を好むか、ということを詳しくリサーチする必要があるということです。
次に重要なことは、推薦状を履歴書及びエッセイと共に三位一体で考えることです。出願書類の中でも最も重要な履歴書、エッセイ、推薦状を絶対に単体で考えてはならないということです。日本では推薦状は出願者自身が作成する事も多いため、その様な場合は推薦状の内容も皆さん自らが考えより効果的な推薦状になるよう工夫する必要があります。推薦状の内容を決める最も重要な主軸は皆さんが推薦状の前に作成した履歴書とエッセイになります。つまり履歴書及びエッセイで審査官にアピールした内容を推薦状で第三者の立場から証明してもらうということです。そのため履歴書、エッセイでアピールした内容を証明する内容の推薦状にサインをしてくれる方を探して推薦状を作成すると履歴書、エッセイ、推薦状が一体となり審査官に効果的にアピールする書類となります。
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その他の出願書類/要件
最後に履歴書、エッセイ及び推薦状以外の書類で必要になる可能性のある書類について簡単に解説致します。通常海外大学院へ出願する際は英文履歴書、エッセイ、推薦状の提出は課されますが、実は出願校や出願コースによってそれ以外にも提出を求められる可能性のある書類がいくつかあります。
PhDやリサーチ主体プログラムより求められやすい書類
ライティングサンプル(研究実績):研究中心の授業についていけるだけのリサーチ実績があるか否か、またリサーチの実績により入学後のポテンシャルを証明する為に、出願専攻に関連したテーマの論文やレポートを提出します。
リサーチプロポーザル(研究計画書):入学後に希望するリサーチテーマ、リサーチスケジュール、方法等を計画書として提出します。これによりリサーチの実現性を測る目的や担当教官とのマッチング材料となります。
芸術系のプログラムより求められやすい書類
ポートフォリオ(作品集):建築系のプログラムでは過去の設計実績やスキルを計る目的、アート系プログラムでは入学後の実践的な授業についていけるか実技レベルチェックと、芸術性のポテンシャルを計る目的で、過去の作品資料が求められます。またジャーナリズムやコミュニケーション系のプログラムでも過去に担当した雑誌や記事、ウェブ上の記事やストーリー、脚本等が求められる場合もあります。
ビジネスなど実務系のプログラムより求められやすい要件
インタビュー(面接):実践的なカリキュラムの場合はグループワークやディスカッション等も多い為、そこで自身の考えをクリアに伝える事が出来るか、クラスを活性化する効果的な発言、役割ができるコミュニケーション能力が備わっているか、を判断する為に(留学生の場合は通常オンラインによる)面接がセレクションベースで求められる事があります。