【コラム31】IELTSテスト細分化により大学院留学への影響

【コラム31】IELTSテスト細分化により大学院留学への影響
~英国大学院留学を目指す皆さんが受ける影響とは?~

2015年3月に英国政府より、下記の3点が発表されました。

変更点①:IELTSテストの細分化
変更点②:SELT(ビザ申請で認められる英語力判定テスト)の変更
変更点③:公式な各テスト機関(テスト実施機関)の変更

以上3点の変更は今後英国大学院留学を目指す皆さんにどのような影響を与えるのか、という点にフォーカスし今回は解説していきたいと思います。

まず「変更点①:IELTSテストの細分化」ですが、今後IELTSは下記の通り3つに分けられることになります。

 

1、従来のIELTS

2、IELTS for UKVI(2015年4月25日以降開始予定)

3、IELTS Life Skills(2015年4月25日以降開始予定)

 

従来のIELTSは現行のものですのでここでは説明を省かせて頂きます。まず「IELTS for UKVI」ですが、テスト内容は従来のテストと変更はないようです。では変更点はというと、従来のIELTSは今後学生ビザ申請に使用することができない(2015年4月6日以降)、ということです。

 

従来のIELTS:学生ビザ申請に使用できない。

IELTS for UKVI:学生ビザ申請に使用できる。

 

そしてIELTS Life Skillsに関してはビザ申請のみに使用する目的のテストで、スコアではなく「Pass/not Pass」と認定、不認定という形で結果が出ますので、大学院留学で使用することはありません。

 

次に「変更点②:SELT(ビザ申請で認められる英語力判断テスト)の変更」についてです。現在英国では就労や永住といった各入国ビザ申請に、一定の英語力を証明することを義務付けています。これは英語力のない外国人入国者を受け入れないという政府の方針からくるものです。

 

そしてこのビザ申請の際、一定の英語力を証明するテストとして、英国政府に認定されているテストをSELT (Secure English Language Tests)と言います。

 

今回このSELTに関して大幅な変更がありました。

 

2015年4月5日までSELTとして認められているテストは下記となります、

 

1、ケンブリッジ英検

2、従来のIELTS (Academic and General Module)

3、PTE Academic

4、Integrated Skills in English (ISE)

5、Graded Examination in Spoken English (GESE)

 

そして、2015年4月6日からは、

 

1、IELTS Life Skills(A1 and B2 level)

2、IELTS for UKVI(Academic and General Module)

3、Graded Examinations in Spoken English (GESE)

4、Integrated Skills in English (ISE)

 

去年のTOEFL不認可の動き同様に、今年も英国政府がSELTに大きな変更を加えてきた形となります。つまり、今後PTEだけでなく、従来のIELTS(2015年4月5日まで開催されているテスト)は学生ビザ申請に使用することができない、ということです。

 

最後に「変更点③:公式な各テスト機関(テスト実施機関)の変更」ですが、今回英国政府はSELTとして認定されるテストを実施できる機関を大幅に限定しました。特に世界各都市で開催されているIELTSですが、日本は日本英語検定協会(英検を主催している組織)から、ブリティッシュ・カウンシル(英国の公的機関)に変更となり、開催場所も下記の通り東京と大阪に限定されました。

 

今後は、

 

日本英語検定協会が実施するIELTS:

・従来のIELTS

(SELTとして認定されていないためビザ申請不可)

 

ブリティッシュ・カウンシルが実施するIELTS:

・IELTS Life Skills

・IELTS for UKVI

(SELTとして認定されているのでビザ申請可)

 

となります。

なお、今後も日本英語検定協会は従来のIELTSの運営を続けていくようです。

 

以上3点が大きな変更となります、

まとめると、

IELTSが下記3つに細分化、

1、従来のIELTS

2、IELTS Life Skills

3、IELTS for UKVI

 

PTE、ケンブリッジ英検、従来のIELTSでは学生ビザ申請が不可、

そのためビザ申請には下記いずれかを受験する必要がある。

1、IELTS Life Skills

2、IELTS for UKVI

 

IELTSを実施する組織が英国の公的機関に変更となり、

IELTS Life Skills及びIELTS for UKVIはブリティッシュ・カウンシルを通して予約する必要がある(受験会場は東京及び大阪のみ)。

 

ということです、

 

ただ、今回の変更には大学院留学を目指す皆さんに非常に重要な二つの特定措置があります。

 

一つ目は2015年4月5日以前に従来のIELTS(日本英語検定協会運営のテスト)を受験された方を対象としたものです。今回の変更点の移行措置として、2015年4月5日までに受験されたIELTSスコアは、2015年11月5日までビザ申請で使用することが可能です。そのため、2015年4月5日以前に受験されたIELTSスコアを大学院への出願、及び学生ビザ申請に使用される予定の方は、今回の変更は一切影響がありません(2015年11月5日までに学生ビザを申請する場合)。

 

そして二つ目の特定措置ですが、英国の大学院が発行する入学許可書があれば従来のIELTSや、TOEFLiBT(SELTに認定されていないテスト)でもビザ申請が可能、ということです。ただこの措置は英国政府が特に信用している大学院が発行する入学許可書に制限されています。この英国政府が特に信用している大学院はHighly Trusted Sponsors(HTS)と呼ばれ、英国政府のオフィシャルサイトで一覧を確認することが可能です(下記参照)。

 

つまり、留学先を希望する大学院がこのHTSに認定されている大学院である限りは、今回の変更点やSETLなどに影響することは一切なく、大学院が出願にどのテストを認めているか、ということに依存するということです。

 

最も重要なことは、進学を希望している大学院が認めているテストを確実に明確にすることです。例えば、現在オックスフォード大学やケンブリッジ大学でも、従来のIELTSだけでなく、TOEFLiBTも認めているのが現状です。ただもちろん今後は英国大学院の中でも様々な変化が起こることが予想されますので、定期的に進学を希望する大学院に確認をとることが重要です。

 

そして大学院留学を目指す皆さんは、こういった変更点に一喜一憂するのではなく、進学を希望する大学院をできるだけ早く決め、その大学院が認めているテストを明確にしテスト対策を効果的に行っていくことが最も重要となります。

 

また、IELTS for UKVIの受験方法や詳しい試験開催日等はまだオンライン申込のシステムなどが整っておらず、現在はブリティッシュ・カウンシルに試験申込書を郵送する形をとっています。なお、4月末頃までにはオンラインアプリケーションなどのシステムも整う予定とのことです。

 

※今回のコラムは2015年4月13日現在の情報をもとに作成致しました。