大学の成績証明書にGPAが記載されている場合の対処方法
※23年5月更新※【コラム32】 大学の成績証明書にGPAが記載されている場合の対処方法
~大学編入をせずGPAを塗り替える唯一の方法~
今回は、現在でも最もご質問やご相談の多い、GPAについてです、
GPAについては、特に社会人の方は一切塗り替えることができない、という意味ではTOEFL/IELTSやGMAT/GREといった各テストスコアやエッセイ、推薦状といった今後の努力で大きな成果が期待できるものとは大きく異なります。
そのため、今後どれだけ努力や時間を費やしても一切変更が効かない、という理由から、大学院留学を検討する際、最も重要なファクターとしてご認識されている方が多いようです。
GPAについてはこちらのコラムや各種ウェブセミナーでも何度も解説してきましたが、今回の趣旨はGPAが皆さんの英文成績証明書に載ってしまっている場合の対処方法です。
最近下記のようなご相談が増えてきました、
「出身大学で成績証明書を発行したらGPAが記載されており、2.5を切っていました、やはり大学院留学は諦めるべきでしょうか?」
昨今日本の大学も文部科学省の意向により、ほぼ全ての大学で四段階評価に移行しています。ただこの日本の大学が取り入れている四段階評価方法は、大学院留学を目指すうえでは非常に大きなリスクを持っています。
例えば日本の大学は四段階評価といっても、
S/A/B/C、またはAA/A/B/Cといった形、
いずれの形にしてもAの上に更にSやAAといった評価があります。これは幅広くGPA制度を取り入れている北米の大学ではあり得ないことで、日本独自の制度と言えると思います。
例えば、
S=4、A=3、B=2、C=1
というGPAの計算をされてしまうと、3.0平均を取得するためには、A平均を取得しなければならないことになります。
つまり、この計算方法だと大学内ではある程度優秀とされている方(ほぼAとBの成績を取得されている方)のGPAは2.0~3.0となってしまいます。相当な確立でSを取得しませんと評定平均3.0を超えることは難しいでしょう。
そのため、特に理系の大学生などは大学在学中相当な努力をしたとしても、もし英文成績証明書にGPAが載っていると、そのGPAは3.0以下になることが非常に多いということです。
もし英文成績証明書にGPAが印字されていなければ、出願校が独自でSやAAを4.5と計算したり、SやAAを4、Aを3.5と計算してくれる場合もあります。
ただ皆さんの出身校が発行する英文成績証明書にGPAが印字されていると、そのGPAを100%出願校のアドミッション担当者が信じるかどうかは分かりませんが、非常に印象は悪いことは確かです。特に人気の大学院になると何千という出願書類の中でそういったGPAが記載されていると、その時点で足切りされてしまうことも少なくありません。
つまり、SやAAなどAの上にもう一つ評価があるような大学をご卒業された方で、英文成績証明書に出身大学が計算したGPAが載っている場合は、大学院留学を目指すうえで非常に不利になってしまう事が多い、ということです。
ではどういった国や学校が皆さんの成績証明書に記載されているGPAをそのまま信じて(によって審査を行い)、一方どういった国や学校が記載されているGPAを重要視しない(そのまま審査はしない)のか、という点ですが、弊社の20年に渡る実績によってある程度分かってきました。まずイギリスは皆さんの関証明書に記載されているGPAによってそのまま審査が進むことが多いという印象です。
そのため、イギリスの大学院の場合新卒の大学生が出願するともれなく(合格した場合)「条件付き合格」を取得することになります。この「条件付き合格」は皆さんご存じの英語力の条件付きではなく、「卒業後時の最終成績証明書の成績に関する条件」となります。せっかく条件付き合格をしても、大学卒業時の最終成績証明書の成績によって不合格になるケースが多々あります。この場合、成績証明書に記載されているGPAを基準にすることが一般的です。
イギリス以外の欧州の公立大学もイギリスと同じように不利に働くことが予想されますが、北米の大学院であれば容易に皆さんの大学の成績証明書に記載されているGPAを塗り替えることが出来ます。ではどうするかというと、第三者機関に皆さんの英文成績証明書の再評価を依頼します。
代表的な第三者機関は下記WESとなり、海外の大学で発行された英文成績証明書をその国々の基準に合わせ再評価してくれます。
World Education Services, Inc. (WES)
https://www.wes.org/
WESにも下記のような第三者機関があります。
その他第三者機関一覧:
https://www.naces.org/members
一方欧州には類似の期間としてNARICという組織がありますが、こちらで日本の成績証明書の再審査を依頼しても、WESのように各クラス単位で成績を再審査し、GPAを再計算してくれることは通常ありません。日本の大学卒業証明書(学士号取得証明書)が欧州各国のそれを同レベルであるという証明のみとなってしまいます。
通常WESに再審査を依頼すると、日本の大学の成績証明書のGPAは大幅に上がることがほとんどですが、この再審査した成績証明書を欧州の大学出願に使用できないか、というご相談を頂くことが多いのも事実です。ただ、WESなどはすべて北米にある第三者機関となり、欧州での効果については非常に限定的となります。イギリスを含む欧州は、WESなど第三者機関の成績証明書については審査基準としては見てくれないのが一般的です。
しかし、特に日本の大学で発行される英文成績証明書に印字されているGPAは非常に海外の大学に比べると厳しく(不利に)評価されていることが多いため、第三者機関に依頼することでGPAが格段に上がることが多いのため、GPAに強い懸念を持たれている方はやはり北米の大学院をご検討頂くのが宜しいのではないかと思います。
前述致しました通り、海外の大学院のアドミッションは、英文成績証明書に印字されたGPAを鵜呑みにすることは一切ありませんし、上記のような第三者機関に依頼することでGPAを塗り替えることが出来る可能性も残されています。もし皆さんが出身大学で英文の成績証明書を発行してもらい、そこにGPAが印字されており、2.5以下だったとしても、絶対に大学院留学を諦めてないで頂きたいと思います。