武田隼和さん|Shunna TAKEDA
武田隼和さん|Shunna TAKEDA
合格スクール | École Polytechnique Fédérale de Lausanne Delt University of Technology Imperial College London University College London |
留学先(国) | スイス オランダ イギリス |
専攻(メジャー) | Environmental Engineering/ Energy Engineering |
職業 | 某私立大学 |
今回インタビューにご協力頂きました武田さんは、スイス及びオランダの名門工科大学、EPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)、TU Delft(デルフト工科大学)両校に見事合格されました。専攻も再生エネルギー開発と昨今非常に注目度の高い分野となります。またスイス、オランダ以外にもイギリスのImperial Collegeなどの名門校にも合格されておりますので、今回はその合格の秘訣や留学の動機など詳しくお伺いすることができました。
Q1. まずは大学院留学を目指されたきっかけからお伺いできますか?
Q1. まずは大学院留学を目指されたきっかけからお伺いできますか?
僕はもともと小さい頃から父の仕事の関係で海外に住んでいた事もあったので、海外で学ぶという事を凄く自然に感じていました。
具体的には2~8歳を香港で、13~15歳をサウジアラビアで、15~18歳をドバイで、その他日本にいるときは基本的に東京で暮らすという生活でした。
そういった生活の中で、海外と日本両方のカルチャーの影響を受けて育ったので、どちらにいても自分にとってはそこまで劇的な違いはなく、現地でも土曜日は日本人学校に行ったり週末に企業の方とサッカーとかソフトボールとかを一緒にしたりと、日本語を話す機会もあったので、周りにいる日本人の友人や知人の割合が日本では7割だったものが海外だと3割になる、、自分にとってはそんな感覚でした。
なので、将来的にも日本でずっと生活するイメージはあまりなく、日本と海外両方で生活していくんだろうな、していきたいなと思っています。
海外と日本で何が大きく異なるか、よく食文化とかそういった事を耳にすることもありますが、自分にとってやっぱり“人”の違いが大きいと思いました。海外では本当に異なる価値観や文化があり、コミュニケーションを取っていても価値観によるすれ違いがよく生じます。
なので、人と話す時はその人の価値観だったり文化だったりを理解して考えた上で話す様にしていました。この経験でコミュニケーションについてはより深掘りする訓練は出来たのかなと思っています。日本にいるとそれがないので、コミュニケーションがとっても楽ですね、話さなくても通じる位です(笑)。
そういった生活の中で、海外で新しい事に挑戦したり活躍している大人の方に多く出会いました。その方達はそれぞれのフィールドで現地の人々と関わって、自分の価値を発揮しておられます。
そして独自性を出して海外でチャレンジする事の重要性についてお話を伺い、それをする為には海外の大学院で専門性をしっかり磨きたいという気持ちを自然と持つ様になったんです。
Q2. 大学院留学に向け、いつ頃からどのようにご準備を進められましたか?
Q2. 大学院留学に向け、いつ頃からどのようにご準備を進められましたか?
そうですね、、今の大学も英語で全て履修するプログラムなので、海外の大学院への進学という事はずっと考えていたのですが、具体的に情報収集をしたりし始めたのは大学2年~3年生の夏休み頃だったと思います。東京大学で開催されたセミナーに参加したり、ウェブサイトを見たりして情報収集を始めました。
更に具体的に準備を始めたのは、3年生の春頃こちらのサポートをお願いして、そこからは担当カウンセラーさんにご指導頂いた通りのスケジュールで進めていきました。まず出願校を選ぶ為に条件を考えたり、希望に沿うプログラムをご紹介頂いたりして夏~秋位に出願校を決めて書類を作成して12月位から順次出願 という感じで進めていきました。
その間もちろん大学もありましたが、基本的にはやはり大学院への準備を優先しながら進めていましたね。
Q3. 専攻や国、出願校はどのように選ばれましたか?
Q3. 専攻や国、出願校はどのように選ばれましたか?
まず学問的にはエネルギーに関する分野、特に再生エネルギーの分野に関して学びたいという希望があったので、まずはそういった学問が提供されているプログラムを見ていきました。
再生エネルギーに興味を持ったきっかけとしては、15歳から過ごしたサウジアラビアでの経験が根底にあります。サウジアラビアは基本的に石油による収入でずっと国を支えてきていましたが、そういった資源のある国であっても太陽光発電であったり、そういったエネルギーに関する取り組みをしていたんですよね。
その時漠然とこういった事が将来必要とされる事になるんだろうな、と感じました。当時から世の中に必要とされる事をやる、今後必要とされるであろう事を先に学ぶという事は自分が目指していた事だったので、丁度自分の価値観に合致したという思いが強く残っています。
もう一つ分野的に重要視しているポイントとしてはSustainabilityに関する考え方についてしっかり学びたいなと思っていました。この考え方は特に日本の企業だと就職してからは学びにくい分野だと感じていて、学生のうちにしっかり身に付けておかなければいけない価値観じゃないかなと強く思っています。
学問分野以外で他にも重要視したかったのが、人との関わりです。今までの海外生活でインド人の方やアラブ人の方、今の大学で中国や韓国といったアジア系の方とは接する機会が多くて、彼らとのコミュニケーションについては経験できたかなと思うんですが、ヨーロッパの方たちともコミュニケートする機会を持ちたいと思っています。
ヨーロッパに関しては文化も好きなので、出願校に関して最初は北米なども視野に入れていたのですが、最終的にはヨーロッパ各国の興味が持てるプログラムへ出願する事に決めて、今回進学する予定のスイス連邦工科大学ローザンヌ校も含め全部で6校に出願しました。
Q4. 今回見事複数校より合格を得られていらっしゃるという事ですが、進学校選びに関しては迷いなどありませんでしたか?
Q4. 今回見事複数校より合格を得られていらっしゃるという事ですが、進学校選びに関しては迷いなどありませんでしたか?
合格を頂いた中でも3校について非常に迷ったんですが、それぞれの情報量に偏りがあったので、しっかり比較検討出来る様にまずは情報を集める作業から始めました。最後は総合的に考えましたが、検討するポイントとしては①人や環境 ②就職 ③コース内容 を主に比較していきました。
まず人に関しては今回進学を決めたスイス連邦工科大学ローザンヌ校は特殊で学部からの内部進学が8割、更にヨーロッパ出身の生徒さんが殆どという事で、その点で面白味を感じました。
2点目の就職に関してはランクの差などは多少あるものの、スタートアップの可能性などを考えたりすると何れも魅力的で大きな差はないのかなという結論に至りましたね、最後の3点目、コース内容に関して、これが一番難しくて、、
比較していた3つのプログラムは、風力発電の構造から学ぶといった主に技術的な部分についてしっかり学べるコース、それをビジネスにどの様に活かしていくかという事を主に学べるコース、更に発電した電力をどの様に供給していくのか需給バランスをデータを使って分析するスキルが得られるコースと、再生エネルギーに関連しているという部分では共通しているものの、全くアプローチが違うコースだったので、非常に迷いました。
3月に合格が出そろった段階で改めてそういった分野について勉強して、最終的には発電した電力をどの様に供給していくのかどう活用していくのか、需給バランスをデータを使って分析していくのかといった事について学べるスイス連邦工科大学により興味が惹かれ、総合的に考えた結果この大学へ進学する事に決めました。
Q5. 留学のご準備で大変だったことや、逆にこの期間を経て得られたものなど、印象に残っていることがあったら教えてもらえますか?
Q5. 留学のご準備で大変だったことや、逆にこの期間を経て得られたものなど、印象に残っていることがあったら教えてもらえますか?
まず大変だった事としては、頭の中では分かっていてもそこから行動に起こす事ってなかなか難しいなと改めて感じましたね。
例えば慣れていない海外のウェブサイトを確認したりしていても、情報がバラバラで統一感がなく、欲しい情報を得る為に時間がかかってしまうんですが、そういった部分についてこちらの会社で情報をまとめて頂いたりご指導頂いた事は非常に助かりました。
この最初のステップをエネルギーをかけずに乗り越えられたのは大きいと思います。そこを越えてやるべき事が分かれば、そこからはスムーズに進められたかなと思います。
そうは言ってもやはり大学3~4年時は忙しいので、マルチタスクをこなす為の工夫として僕の場合は時間を区切って取り組む様にしていました。
大学院へ出願する為のエッセイってとても深い事を問われるので、1日単位とかで区切ってしまうと思い出すだけでも時間がかかってしまって効率悪いんですよ、、特にデルフト工科大学のエッセイでは3つ将来やりたい研究を提示しなければいけないという課題があって、それを考えるのがなかなか大変でした。
今どんな研究が求められていて、今までどんな研究がなされているかを調べて、自分が今まで経験した事から繋がりやすく結果を出せそうなテーマ、且つ出願するコースの方向性にも合っていなければいけない、、それを3つって、、なかなかでした(笑)。
それを客観的な目で添削頂いてOKをもらえた事はとても安心感がありましたね。大学の研究もそれは同様で集中して一定期間ないと進みにくいので、僕の場合は1週間単位で時間割を意識して効率よく進められる様にしました。
あと出願書類関係の中で推薦状については、サマースクールでオランダのデキルフト工科大学のプログラムに1カ月参加をしたのですが、その時の先生にお願いする事が出来たのはとても良かったと思います。
プログラムに参加する前からそれは意識していたので、先生との関係を築ける様に授業終わりで質問に行ったり、授業中積極的に手を上げたり、BBQパーティーでも最初に話しかけに行くとか(笑)、まずは名前を覚えてもらって評価を頂ける様心がけていました。
大学院留学の準備期間を通じて大変な事もありましたが、自分の中では常に挑戦しているという意識を持てましたし、周りの方からもそういった声をかけて頂ける事も多かったので、これからの自分にワクワク期待しながら過ごすことが出来ました。
それがモチベーションに繋がりましたし、今もそんな皆さんからの声を頂けた事で2年間頑張らなければという気持に繋がっています。
やはりセルフイメージにリミットがなく多くの可能性を持てる事は何より幸せな事だなぁと感じていますし、家族をはじめ周りの方にもとても感謝しています。
僕の家族はお互いの目標や希望があったりすると、出来るだけ皆で共有してお互いに協力や応援をし合っています。そうする事でお互い関心を持ち合う事が出来るのかなって思います。
そうはいっても子供である僕や妹の方が助けてもらう事の方が多くて、今回の留学についても本当に助けてもらいました。
いつか自分の方が親に何かできる事があればなって思いますが、きっと僕が毎日充実した生活をする事が一番喜んでくれるんでしょうね(笑)。
Q6. 色々なご経験を経てまもなくご出発を控えていらっしゃいますが、留学中、留学後の抱負や今の心境をお聞かせ頂けますか?
Q6. 色々なご経験を経てまもなくご出発を控えていらっしゃいますが、留学中、留学後の抱負や今の心境をお聞かせ頂けますか?
今は本当に『楽しみ』の一言ですね、特に最近はコロナの影響で自宅で過ごす事が多かったので、頭の中でこうしたいああしたいという考える時間が沢山ありました。それがようやく行動に移せる事が本当に嬉しいです。
オランダに行った時にも感じましたが、ヨーロッパの方は皆さんワークライフバランスが上手だったり、効率の良さだったり、日本人である僕から見て優れている部分を持っておられると感じています。
サマープログラムに参加した際にも最後に現地の大学の方と僕たちサマースクールの学生でプレゼン対決の様なものがあったんですが、やはり差を感じました。
もちろん言語のハンデはありますが、彼らはインプットに対するアウトプットが凄く優れているんですよね。
そもそも彼らのゴールは常に如何に素晴らしいプレゼン(アウトプット)をするかであって、その為のインプットなんです。なのできっとインプットしながら最終ゴールであるアウトプットの事ばかり考えているんだと思います。
日本人の場合はプレゼンのイメージがないまま まずはインプットするといった感じで、もちろんそこには経験の差もあると思いますが、、そんな環境の中で今回の留学では自分のリミットを感じてみたいですね。挫折をしてみたいです(笑)。
本当に追い込まれると自分がどんなパフォーマンスを発揮するのか、その時に見れる事や学べる事があると思うので、そんな経験をこの2年間でしてきたいですね。
その為には勉強もそうですが、コミュニティーに積極的に参加したいと思っています。そこでなかなか認められない、通じない、思い通りにならずに周りの足を引っ張ってしまう、、そんな事がきっとあると思います。
そういう経験を積んで自分を追い込んでみたいです。今までも海外生活の中でそういった経験は少なからずありましたが、やはり日本人という優位性やリスペクトもあったと思うので、それが通じにくいヨーロッパでの留学経験をこれからの自分の成長に繋げていきたいと思っています。
卒業後の豊富としては、今後再生エネルギーの分野で電力をどの様に貯蔵していくかという部分が鍵になってくるかなと思っていて、その貯蔵する時に貯蔵自給率を学ぶというよりはそれぞれの電力会社がある中で社会全体のエネルギーを最適化するデータを使ってうまく変動する電力量を等分に分けるか、そういった事を学んで活躍していきたいと思っています。
活躍する場としては電力会社などでももちろん活かせるとは思いますが、やはり考え方の部分なので、どちらかというと将来発電プロジェクトをコーディネイトする時などに国内外問わずに活かせるかなと思います。新しい提案をするときに前提知識を持っていた方が具体的な提案が出来ると思うので。
特にこのコロナの時期以降は様々な企業で脱炭素に取り組んでいると聞きますし、どんな企業でも今は分散化する為に再生エネルギーを使って自家発電に取り組んでいると思うので、これから学ぼうとしている事はどんな場所でも分野でも必ず必要とされると期待していますし、そこで学んだことを還元していきたいと思っています。
Q7. 最後に、現在大学院留学を目指されていらっしゃる皆様へアドバイスやメッセージなどございましたらお願い致します。
Q7. 最後に、現在大学院留学を目指されていらっしゃる皆様へアドバイスやメッセージなどございましたらお願い致します。
僕は日々、何か思い立った時はすぐに行動を起こす事を心がけています。結局最初のひらめきやアイデアが一番良かったって事、多いと思うんですよね。
時間が経ってしまうとマイナスの意見や情報が入ってきてしまって、結局行動を起せなくなってしまうので、、。直観を大事に決断をしていく事によって、自分の決断の精度も上がっていってミスが少なくなっていくんですよ。
大学院留学の準備においてもそれは意識して、いいなと思った大学については受験する様にしたり、可能性をなくさないようにしていきました。
大学院留学に関して言うと、僕の場合は大学に入学する前から海外の大学院への進学を考えていましたし、必然性もありました。ただ他の方にとってそれがベストな目標ではないかも知れません。
目標を見つけるのってとても難しいと思うんですが、その方法として僕が意識しているのは、自分にとってのロールモデルを見つけるという事です。自分にとって将来この人の様になりたいと思えるロールモデルの存在は目標を見つける上でとても分かりやすく、具体的なイメージに繋がると思います。
大学生の方であれば1~2年生の時間がある時に遊びながらでも良いので、周りにそういった方を探せると、自分がどうなりたいかというのが見えてきやすいと思います。周りにそういった方がいなければ、5年後の自分がその時も一緒にいたいと思える人と過ごす、というのも良いと思います。
僕の場合も周りの大人だったり、友達だったりの中でそういった方を見つけて、良い影響を与えてもらってきました。
なので最終的には誰かにとってそんな存在になれる様な、価値を提供できるような人に成長したいと思っています。
出来ればスイスでの生活の中でも自分にとってそんな存在になる同級生と出会えると嬉しいですね、同世代だとお互い成長していくので、そこに追いつく為に非常に良い刺激になると思います。そういった出会いも今回の留学の大きな楽しみの一つです(笑)。