海外の公衆衛生学はさらに細分化。

海外大学院で学ぶ日本人留学生にとって医療系学位で最も人気があるのは公衆衛生学で、MPH(Master of Public Health)という名でも知られている専攻になります。日本で公衆衛生学を高等教育レベルで学べる学校が少ないため、海外の大学院を選ぶ方が多いのも特徴です。

専攻

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公衆衛生学(Public Health)

国際連合の機関である世界保健機関は、健康を「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」と定義していますが、公衆衛生学とは地域全体の健康への脅威を扱う学問です。

また世界保健機関は公衆衛生を「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」と定義していることからも分かるように、ある地域の組織全体の健康について分析、健康な状態へ導くための方法、政策を学ぶ学問です。

海外の大学院ではさらに専門分野を絞り込むことができ、通常疫学、生物統計学、医療制度(政策)等があります。また臨床医学と異なるところは、通常の臨床医学が個人水準で健康を扱うのに対して、公衆衛生は社会水準で健康を取り扱うところが大きく異なるところです。

例えば、生活習慣病対策・伝染病(感染症)予防・公害対策・上水道・下水道・食品衛生等社会保障の基礎となる分野について研究する学問は公衆衛生の研究テーマとなります。

専攻

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看護学(Nursing)

昨今では看護学が対象とするテーマは非常に多岐にわたり、基礎看護学、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、助産学、精神看護学、地域看護学、在宅看護学、看護管理学等といった分野があります。

最近ではさらに看護学の学際化が進み、看護栄養学、看護倫理学、看護情報学、看護社会学、看護政策学、看護教育学等といった分野も発展してきています。さらに海外大学院で看護学を選択する際に最も注意すべき点は看護学修士課程を卒業しても現地で看護師として働ける資格を得ることはできないということです。

現地で看護師として働くための看護師資格取得を目的とする留学と、海外大学院で看護学を学術的に学ぶ留学は目的が大きく異なるため、その方法も大きく異なります。例えばアメリカでは NCLEX という試験を受験する必要があり、オーストラリアでは海外で看護師資格取得者用のコースを大学で開講しています。

そのコースに編入学、卒業することで看護師資格を取得することができます。以上のように資格取得を目的とする場合は大学院留学を検討する前に現地での資格に関するシステムを詳しく調べる必要があります。

専攻

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薬学(Pharmacy)

海外だけに薬剤師として活躍するためには、大学院を卒業しそのうえで薬剤師の資格を取得する必要があります。

海外で薬剤師の資格(Registered Pharmacy)を取得することは通常とても困難と言われます。日本と同じで、それぞれの国で独自の資格がありますので注意が必要です。通常アメリカでは、専門的な薬学の勉強は大学院で始まりますので、大学卒業後に薬学を目指す方にも門戸が開いています。その際大学の専攻は生物か化学の必要があります。

実際に海外で薬剤師になることは不可能でばありませんが、非常に難しいとされており、実際には日本の大学を6年かけて卒業し、その後薬剤師の資格を日本で取得後、海外の大学院に進学し海外の薬剤師の資格取得を目指す方がほとんどです。